「自営業やフリーランスの人は、保険はきちんと準備しておいたほうがいい」メディア(TV・インターネット等)でこんな話を見聞きしたことはありませんか? 確かに自営業やフリーランスの方の場合、手厚く保険を用意したほうが良い側面もあります。しかし、その具体的な理由まではあまり突っ込んで理解していない、という方も多いのではないでしょうか?
今回、
①なぜ自営業やフリーランスの方は民間の保険が必要なのか、②具体的に自営業やフリーランスの方はどのような経済的なリスクを抱えているのか、③それらのリスクに備えるために自営業やフリーランスの方はどのような保険を検討したら良いのか、という3つのポイントについてご説明します。
今回は①と②について説明します。特に自営業やフリーランスといった形態で働いている方は、自分自身はもちろん、大切な家族を守るためにもご一読下さい。
①なぜ自営業の人は手厚く保険に加入すべきなの?
まず見ていきたいのは、自営業やフリーランスとして働いている場合、手厚く保険に加入したほうがなぜ良いのかというポイントです。ひと言でいえば、その秘密は公的保険にあります。具体的に解説していきます。
日本国民は全員、公的保険に加入している 公的保険は、国や地方公共団体といった公的な機関が運営・管理を行っている保険のことです。日本国民は「国民皆保険制度」のもと、すべての人が何かしらの公的保険に加入しています。保険に入っているという意識は薄いかもしれませんが、実はこの公的保険が様々な経済的なリスクから私たちを守ってくれています。例えば病気やケガで通院をしたときに窓口で支払う医療費がわずか3割負担で済みます。これは、公的医療保険が残りの7割を医療機関に支払ってくれているのです。また、所定の保険料を納めていれば、私たちはある一定の年齢に達した以降には国民年金や厚生年金を受け取ることができます。これも公的年金保険に加入しているからこそ得られるものです。このように公的保険は、私たちが生きていくうえで発生する経済的な負担を様々な形でフォローしてくれています。働き方によって加入している公的保険に格差が!? しかし、すべての人が公的保険に加入しているからといって、全員が同じ公的保険に入っているわけではありません。今日では、会社員や公務員、自営業、パート・アルバイトなど働き方が多様化していますが、それに応じて公的保険の種類も変わってきます。
そして、最大のポイントは、加入している公的保険によって保障内容に格差が生じていることです。「自営業やフリーランスの人は手厚く保険に加入したほうが良い」と言われる理由もここにあります。詳しくは後述しますが、自営業の場合、会社員や公務員と比べて、公的医療保険、公的年金保険などがやや手薄くなっています。言いかえると、経済的なリスクを負ったときに公的保険がカバーしてくれる範囲が狭いのです。その点を踏まえると、自営業の方が抱えている経済的なリスクは非常に大きいのではないでしょうか。公的保険のサポートとしての”民間の保険“ 公的保険は国や地方公共団体などの公的な機関によって運営・管理しており、原則的に本人の意思に関わりなく自動的に加入しているものです。
それに対して、民間の保険は民間の生命保険会社・損害保険会社が運営・管理を担っているので、当然ながら加入するかしないかは本人の自由に委ねられています。したがって、経済的なリスクに対する備えとしては、まずはベースに公的保険の保障があることを踏まえ、それだけでは足りない部分を民間の保険などで補足的にカバーする、という考え方が自然です。つまり、民間の保険の役割は「経済的なリスクのうち公的保険ではフォローしきれない部分をサポートすること」にあります。すでに述べたように、働き方によって公的保険の保障内容には格差があります。残念ながら自営業やフリーランスの方の場合、公的保険の保障は手薄くなっているのが現状なので、その空白部分をしっかりと補てんするために民間の保険を手厚く準備しておいたほうが良いと言えそうです。